溺れる

図らずしも免罪符を手に入れた私はしかし今日も今日とて馬鹿丁寧に滑稽に泳いでる。もっと上手く素直に泳ごうとしても、脚が、腕が、頭が、鉛を引き摺っているように重く、掻くごとに感じる水の掌の感触は温かく、このままでいいのではないかと、錯覚してしまう。私がこうして知る前には確かにあった、あのテーブルに拡がる残酷な怠惰、懐かしいと同時に、あの頃には戻りたくはない。強く、思う。周りの人達の気遣い、支えて貰っている環境、せっかくの手に入ったチャンス、恐ろしくて、何も言えない。言葉にしようとすれば代わりに涙が存在を示すから、何事もないのに、置いてきぼりにされる。あのこの日記をまた読んで、坂口安吾を読んでることを初めて知った。そのつもりはないのに、まるで彼女の後を追っているようで呆れて、少しだけ笑った。追いかければ追いかけるほど、自身の実力の無さにおののいてしまう、ひとつ知ったと思えば、みっつの知らないことが増える、鼬ごっこを続けてる、それでもやり続けているのは、もう私には修正する程の気力も体力も残されていないように思うから、五体満足なのに、こんなにも弱いのは何故だろう、誰のせいでもないんです、私は私の人生は私だけで最後まで面倒を持って、墓まで持っていく、きっと、いや絶対に私みたいな人は沢山いる、書きたいな、先は長いな、けれどもう25歳、時間はあまり残されてはいない





「書けさえすればそれだけで満足です。私は至って健康そのもの。それに、とても元気で前向きです。」